羊水が大きな音を立て割れた途端、下腹部の痛みが、今までとは異なる痛みになった。赤ちゃんが穴をでてくる時の痛さだと思う。助産婦さんに「もしかして、いきみたいんじゃない?」と言われ、ママ「かなり前から、いきみたいんです・・・」ママは、もともと痛みに強い方で多少の痛さには耐えることができる。だが、世の中の女の人すべて、子供を産むとき、こんなに痛いのを我慢しているのか?みんな子供が産まれるとお産の痛みなんて忘れるものだとよく言うけど、ママは絶対忘れてやるものか!!!今ここで気を失うことができたらどんなに楽か・・・そんな色んな思いを抱え、頭の元ではパパが手を握って励ましてくれている。でもママは痛すぎて声が聞こえなくなりそう・・・助産婦さんに「お尻の方に力を入れ、いきんで」と言われたが、力の入れ方が分からず迷った。力を入れる場所がなんとなく分かった途端、少しずつ何かが降りてきているのが分かる。ぼくちゃんは、頭の位置が定まらず、お腹の中でぐるぐる一番いい場所を探して自分の進む方向を決めていたいみたいなんです。そんな中でも、ぼくちゃんは元気がよくお腹の中から力いっぱいママを蹴ってた。ぼくちゃんの蹴りが止まり頭が定まった途端、ますます、いきみたくなった。お尻に力を入れながら何度も何度も強くいきんだ。いきむ度、少しずつぼくちゃんが降りてくる感じが・・・そして、ぼくちゃんが、がんばって狭い産道を通る力と、ママのいきみと、パパの励まし・・・この三つがうまく重なった時・・・「頭がでてますよ。あとは力を抜いて自然に降りてくるのを待って・・・」次の瞬間・・・「オギャー・オギャー・・・」パパとママのもとに元気な男の天使が舞い降りた。新しい命との出会いが信じられなくて・・・でも、元気な泣き声を聞けたことがうれしくて・・・パパの「ありがとう」の言葉が聞こえてきて・・・神秘的な出会いに感動して・・・ママの目からは涙が流れてた。天使ちゃんがんばってくれてありがとう。パパとなりで励まして手を握ってくれありがとう。天使を抱き上げ、不思議な感覚を覚えた。この子がパパとママが10ヶ月間会いたくて待ち続けた天使なのだと、命の重みをずっしり感じた。
3月26日、午後11時55分。2215g。元気な男の天使が舞い降りた・・・。